強制わいせつ。
33歳、会社員。会社の飲み会で相当量の飲酒後、自宅近くの公園で妻が妻の会社の社長といるところを目撃し、以前から疑っていたこともあり、自暴自棄になって、近くを通りすがった見知らぬ女性を追いかけて、被害者のアパートの敷地内まで追いこんで胸をもみ、被害者が腰を抜かしたところで、さらに着衣の上から陰部に指を膣に押し入れるように触った。
本人は事件の行為中の記憶はほとんどなかったが、警察での再現で自身がやったことを認めた。前科前歴はなし。
妻が情状証人として出廷し、不倫の誤解でストレスをかけたことが一因であったが、その後誤解であることが理解され、事件については、ストレスを避ける。断酒をする。夜は一人で歩かない。家族の時間を増やす。といった環境を整えて、再犯防止に取り組む意向を示した。
裁判では、ストレスはきっかけに過ぎず、なぜ性的暴行に及んだのかという根本原因を突き詰める必要があるという問題提起がなされた。被告人もその妻も、そのことにはいままでまったく関心がないようだった。被告人は性欲が原因ではないという。
事件は1年以上前の出来事で、被告人の妻は現在第一子を妊娠している。
被害者は示談には一切応じておらず、法律で可能な最大限の処罰を望んでいる。
<考察>
妻の不倫と思った公園での目撃がなぜ、その場にいた全く別の女性への暴力として表れてしまったのか。被告人はその時の気持ちは妻に対しての怒りはなく、相手に対する怒りはあったと述べているが、であれば、その相手に対して行動を起こすものと通常考えられる。また、当然ながら性欲ではないと資すると、抗議の行動としてなぜ性暴力を行使したのかという問題と大きく分けて2つの不明な点がある。
妻は証言で「夫は私の言うことは聞いてくれる」と自信たっぷりに話していた。夫婦仲は不倫の誤解も解消し、妊娠もして関係は現在良好とされ、今後、夫と隠し事をしないようにして、監督するといっているが、本当の信頼関係があるようには思えない。
また、性暴力を選んでしまう背景には、被告人の女性に対する誤った偏見に基づいた認識があるのではないかと考える。被告人はこの事件で被害者がどんな被害を受け、それは、女性に対して自分の認識がどのようなものであるからなのかを見直す必要がある。
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